明日も天気になーあれ!

主にQuestNotesやらTRPGやらをやっている人

このブログについて

このブログは、MMOTRPG QuestNotes とかTRPGとかやってる人が、

文章力欲しい…やっぱ書くしか無いよなあ→SNSとかツイッターに投稿しまくるのもなあ。けど、どうせ書くなら見て欲しいし…→よし、場所作るか!

大体こんなノリで作ったブログです。詰まるトコ割りと身内向け。

この表現おかしくね?とか、こんな感じの方が良くね?とか有ったら是非言って下せえ。

QN関連が主になると思うけれど、正直全部これから次第。

 

基本的に取り扱うのは自キャラだけの予定だけど、書いても良い~とか書いて欲しい~とか有れば中の人までどうぞ。その時は頑張ってみようと思いまする

 

目次

現状、全部QN関連。キャラ知ってる人でないと何が何やらな可能性しかないので注意


続き物

『遠い星空の前日談(プリクエル)』
teruteru23-qn.hatenablog.com
NEW
teruteru23-qn.hatenablog.com

RPをSSにしてみようシリーズ。セレンと○○のやり取りを元にした物。某氏が計画中のとある企画、その前日談。


・QN関連SS
『重ならない面影を重ねて』
teruteru23-qn.hatenablog.com

TRPGSNSにも載せてる140字SS。セレンの昔と今のお話



『願いと祈り』
teruteru23-qn.hatenablog.com

セレン140字SS。短く纏めるのに苦労したけど、結局まとめ切れていない感

『仄かに甘く、そして切なく』
teruteru23-qn.hatenablog.com

セレンSS。140字じゃないセレンのSSはこれが初めて。

『如何にして彼は冒険者を名乗るようになったか』
teruteru23-qn.hatenablog.com

レーゲンのお話。久しぶりに書いた長めのSS。このSSはフィクションであり(ry
http://blog.hatena.ne.jp/teruteru23_QN/teruteru23-qn.hatenablog.com/entries

聖都前日譚

耳の奥底を錐穿つような、猛禽の狂鳴が大気を震わせる。
霧深い森の果て。羽搏きの丘にて。
冥く、炯々たる輝きを放つ黒竜の瘴気。それを纏った鷲獅子が翼を広げ――空を引き裂き、流星の如く飛来する。

「ッ――、くっ、ぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

紙一重の回避。振るい当てる事を諦めたのは、疾うの昔の事。
進路上へと置かれた昏色の剣が、闇の流星へと刃先を食い込ませ。
代償として、比較するには余りにもちっぽけな人間の肉体を、吹き飛ばさんばかりの衝撃が両の腕へと伝えられる。
逆らうでも、留めるでもなく。まして流すでもなく、勢いを加速するように地を蹴りつけ跳ぶ。
間髪入れず掠めた双爪に浅く裂かれ。次いで浮いた体へと、抉り突かんと迫る嘴から身を捻り。
地に着いた足先ですかさず跳べば、ひき潰そうとする巨体の進路から五体を逃がす。二度三度と無様に転げ、すれ違った獣を睨んだ。

荒く震える息を吐く。敵への視線を外さぬまま、片膝を付き身を起こす。向けた切先は、腕の芯へと響いた衝撃により震えたままだ。
眼差しの先、地へと降りた鷲獅子は。浅いながらも、幾度も付けられた傷から血を流し。しかし確かな足取りで駆け勢いを殺すと、此方へと向き直り嘴を鳴らす。

果たしてそれが何度目だったか。既に、数えるのも馬鹿らしいほどの繰り返し。
気の遠くなるような戦いだ。
勝ち筋は、確かに見えている。
しかし――そこに至るまで、あと何度、致命の一撃を捌けば良い。

過った弱気を振り払い、隙を探り合うように対峙する。
トレードマークの赤いコートは、夥しい血――返り血と、そして何より自らの血に濡れていた。
戦場には10近くの、割れた回復薬(キュアポーション)の空き瓶が散乱し。手持ちは最早尽き果てている。

しかし精神力を代償に、手にした黒剣が活力を与える。
削れ行く気力を、補う術は心得ている。……時間は、此方の味方だった。

向き合ったまま、一歩、二歩と後退。一息に反転すると、背を向け駆け出す。
迫る足音を背負い、疾走。腕の感覚が戻るまで、綱渡りのような回避の繰り返し。

華やかさとは無縁の戦いの中。
遙か深い森の果て。たった一人、格上を相手に死闘を演じる。
嘗てのように、気心知れた仲間と。肩を並べる冒険ではなく。
――それも今となっては、慣れた事だった。

「……――――ッ!!!!」

不意に湧き出た感情を、強く奥歯で噛み殺す。
地を踏みしめ加速する。血と汗に滲んだ視界を、作り出した合間で拭う。
無様だろうと。孤独だろうと。気の遠くなるような戦いだろうと――それでも。折れる気だけは、欠片も無かった。




幾つもの人里が襲撃されているという報告は、聞いていた。
聖都内部ですら、人手が足りず。特務騎士という形で補う有様だ。
村落の警備に、これ以上割く余裕など更々無く。
よもや、討伐など望める筈も無い。
結果、報告は黙殺され。
滅びへと向かう世界の中、小さな村がまた消える。
至極、当然の成り行きで。至極、当たり前の事だった。




長く細い光明を、只管に手繰り続けた。
呪われた鷲獅子は全身を赤く染め、血の泡を吹きながら宙天にて狂乱の叫びを上げる。
――詰めだ。落ち着け。対応を誤るな……!!
内心で呟くと、幾度となく繰り返した迎撃の構えを取り……
開いた鷲獅子の口腔から漏れる炎に目を見張り、迎撃を放棄し。死に物狂いで身を躍らせ――
刹那、襲い来る爆炎に吹き飛ばされた。

直撃を避けたのも束の間。焼け付く熱に全身を炙られる。
声にならない声を漏らしながら、耳に届いた羽音に追撃を予感し――回避態勢に入った時には、既にその背へと。衝撃を喰らった後だった。

「がっ――――!?……あ゛っ……ぐっ……冗談……だろう…………ッ!」

大きく跳ね飛ばされ、投げ出された体が地に落ちる。
堕ちかけた意識を、辛うじて意志の力で繋ぎとめる。
限界はとうに超えていた。後僅かにでも意識を揺らすようなダメージが入れば、簡単に自分は落ちかねない。
――死にかねない。否。そうなれば自分は――死ぬ。

萎えた手足に力を籠める。
――十全に剣を振るう事は出来ない。体のキレが普段以下なのは、意識するまでもない。

こみ上げた血を吐き出す。剣を支えに、震えながら立ち上がる。
余裕など微塵も無く。それでも視線を持ち上げ――此方へと吶喊する鷲獅子を、正面から見据えた。





世界の在り方は、変わってしまった。
古都エスタナから溢れた瘴気は、大地に満ち。
人が人らしく在れる場所は、ほんの僅かとなった。

聖都へクセティア。人類に唯一残された、安寧を享受できる町。
言い換えれば――この町以外に余力は、最早ない。
この町が落ちれば。その先に待つのは、その日一日を必死に、永らえる日々で――
そうなる前に。余力がまだ残されている内に、瘴気をどうにかする目途が立たなければ。
それは、つまり。人類の終わりと、ほぼ同義だ。

その周りにある農村とは即ち、残り限られた食料の生産地で。
それが襲撃され、滅びたならば――聖都を支える地が滅ぶという事で。
詰まるところ。それだけ聖都の寿命は、短くなる。
動かせる手は、無い。――この二本の手以外は。
なら、俺がこうするのは。
至極、当然の成り行きで。至極、当たり前の事だった。




限界を超えた体を引き摺り、深い霧の森を抜け。馬車へと乗り込むと、糸が切れたように倒れ込む。
怪我は剣が治してくれる。今はただ、休もうと。安堵にも似た気持ちで意識を手放す。

命を懸けた意味はあった。救われた者がいる筈だ。この思いに見合うだけのものは、確かに有った筈なのだと――




鷲獅子が復活し。村が襲われ、壊滅したと聞いたのは。その、3日後の事だった。



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聖都RPがはかどり過ぎた結果、過去妄想が抑えられなくなったので出力。ゲンの字の前日譚。
カースドグリフォンの設定に、食糧として家畜を奪うために農村を襲っているとあったのでそこをフックに。
騎士側でまったく依頼が出ていないのはそういう事なのかな、と妄想したあれ。今後追加された場合はなんか考えます(

聖都周りや世界の状況は、あくまでもレーゲンの解釈という事で。
彼の考えとしては、唯一残された余力のある聖都が残っている内に、根本的に瘴気をどうにか出来る手段が見つからなければ。
その手段を探せるような余力のある、組織だった場所は最早なく。その日その日を生き延びる為の、戦いに終始する日々を世界全体が送らざるを得なくなる。
そうなる前にせめて時間を稼ごう、或は何か手段が有るのでは無いか……と、特務騎士側に付きながら足掻き続けている。と。

いやあIF世界線妄想楽しいなこれ!!!!!!!

遠い星空の前日談(プリクエル)-2

 夜の森は、どこか神秘的な香りがする気がした。
木の葉から漏れる月の光が、柔らかに辺りを照らしている。
二人分の足音に、風が木々を揺らす音。何でもない森の景色が、何だか特別な物に思えてくる。
無性に楽しくなってきて、彼の手を放すとそのまま駆けだしてみた。
おい、と少し慌てたような声。ちょっと離れた所で、くるりと振り返る。
「遅いですよー、もう。ほーら、早く!」
そう言い残してまた駆けていく。
まるで子供みたいだ、と頭の片隅で思う。けれど仕方がない。だって実際に楽しいのだから。


 足を止め、また振り返ってみる。何時もの固い表情で、けれども少し早足で向かってくる彼。
「…こんな時間に、何の用なんだ。大体、危ないだろう」
そう言いながら視線を辺りに飛ばしているのは、警戒してくれているからだろうか。
胸の奥が暖かくなるのと同時に、少し拗ねたような気持が沸き起こる。
何も考えていない、とでも思われたのだろうか。…まあ、それも仕方ないのだが。
「大丈夫ですよー。…今は、あなただって居ますしね」
自分でも子供のようだと思っていたので、軽く返す程度に留める。敢えて用事については触れなかった。
ちょっと照れくさくなって、再び駆けだそうとした所で彼の呟きが耳に届く。
「…何故、俺が護ると思っている」
少し足を止め、瞳を覗きこんでみる。言葉だけなら、突き放すような物言いだけれど。
数瞬の間見つめ合う。…青い瞳は左右に揺れると、そのまま下を向いてしまった。
つい、小さく笑ってしまう。何だかちょっと、可笑しかった。
微かにむっとした様子の彼を置いて、また少し先へ。振り返らないまま言葉を返す。
「何ででしょうねー?…何となく、です!」
言い残して、そのまま駆けだしてみる。
素直じゃない人だ。…そう言う私も、素直とは言えないのだが。
響く二人分の足音に、そんな事を考えつつ。


 森を抜け、眼前に広がった景色に思わず足を止める。
遠くには山々が連なり、その麓には、まだ微かに明かりを残した街並み。
夜色に染まった湖面は、空に輝く星々の光を散らしたよう。
優しい風がその上を駆け抜け、さざめきの音を耳に届ける。
そのまま大きく深呼吸を一つ。ひんやりとした空気が体に満ちていき、心までもが満たされていくようだった。


 彼は今、どんな表情でこの景色を見ているのだろうか。
ふと気になって振り返る。いつも固い顔をしている彼。
その固さを崩して、色々な表情を引き出す事。それが近頃の、密かな私の目標だった。
…彼はただ無言のまま、下を向いて俯いていた。
まるで、自分にはこの景色を見る資格が無い、とでも言うように。
軽く呼びかけてみるも、返事はない。……どうあっても、見ないつもりだろうか。
バスケットからクロスを取り出し、草の上に敷く。その上に座り込んで、もう一度呼びかけてみた。
そのまま隣に座るよう、仕草で促してみる。……促されるまま隣に座った彼に、少し驚いてしまったのは内緒だ。
それでも、相変わらず顔は上げないままだった。
「噂には聞いて居ましたが…すごい景色ですねー。前から、来てみたいなって思ってたんです」
数瞬の後、そうか。と一言。……流石に、少しばかりカチンとくる。
ならば此方にも考えがあるぞ、と軽く息巻いてみる。どうやら、一計を案じる必要が有るらしい。



「ね、ね。ちょーっとだけ、目を閉じて居てくれませんか?」
ちゃんと笑顔は作れているだろうか。赤くなったりはして居ないだろうか。
彼はそんな此方の内心に気づく様子を見せず、驚くほど素直にその目を閉じた。
……よし。内心でそう気合を入れ直す。
ゆっくり、顔を近づけていく。次第に距離が無くなって行き、お互いの吐息が感じられるほどの距離になって…
彼の眼が見開かれる。驚愕したようなその表情に、やった!!と会心の笑み。
そのままするりと体を入れ替え、思い切り彼の上体を引き倒す。
怪我をしないよう体で一旦受け止め、そのまま頭を自分の膝の上に捕まえる。
「ふふーん。油断大敵、です!」
得意になってそう宣言。…期待したのだろうか?けれど残念。乙女の唇は安くないのです。
そんな少し意地悪な気持ちを込めて、微笑んで見せる。…夜の風が、火照った頬を冷やしていく。
驚愕に固まったままの彼。そんな様子が可笑しくて、ちょっと吹き出してしまった。
目にかかった白の髪を手で軽く払い、そのまま優しく撫でてみる。思ったより、その感触は柔らかい。



「何の用事か、でしたっけ。……星を見に来たんです。凄く、凄く綺麗なんだって」
言葉と共に空を見上げる。…そこには、沢山の小さな星たちの光。
視界一杯に広がったその光景に、思わず息を呑んでしまう。
柔らかな輝き。…届かないって解り切っているのに、つい、手を伸ばして。
軽く握ってみる。勿論、手は何を握る事も無かった。
「俺は、ずっと…見逃して居たのか」
「ずっと……下を、向いていたから」
そんな声に視線を落とす。伸ばした手を下ろし、白い髪に指を通す。
青い瞳の中には、満天の星空が確かに映っていた。


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という訳で第2話。全部で4話くらいになりそうかな。
最初3人称で書き進めていくつもりだったけど、1人称の方がずっと書きやすい事に気が付く。
残りもなるべく早いうちに仕上げねば…

遠い星空の前日談(プリクエル)-1

 夜。月が高く昇り、祭りに浮かれていた子供たちがすっかり寝静まり、大人たちが杯を交わし合っている頃。
町外れに有る教会の一室には、小さな明かりがついたままになっていた。
忙しなく羽ペンを走らせ、手元の帳簿と睨めっこを続けているのは、長い金髪の女性。
何処か遠くから、楽し気な笑い声が響いてくる。何処かでまだ、パーティの続きでもやっているのだろうか。
何しろハロウィンの夜なのだ。…そういえば、皆はどうしているだろうか。きっと、酒場でいつも通り、或はそれ以上に騒がしく、楽しい夜を過ごしているのだろう。
小さく微笑みを漏らし、良し!と気合を入れ直す。…寂しくなどないのです。ええ、本当ですとも。誰に言うでもなく言い聞かせ、再び机へと向かう。


 ふと羽ペンが動きを止め、溜め息の音が響く。そのまま大きく背伸びをすると、女は大きく椅子にもたれ掛かる。
いつの間にか、何処かからの笑い声も止んでいた。どこまでも静かな部屋に、ため息の音は良く響く。
「……結局、来てくれないんですもん。……いえ、そこまで期待してた訳でもないのですが。解っていた事ですから、ええ」
そのまま、ため息をもう一つ。…もし街に帰って来ていた時の為にと、伝言まで頼んで置いたのに。
どうやら無駄になっちゃいましたね、と。心の中で呟く。
机の脇に置いてあった、小さな白い袋を手に取りそっと紐を解く。
詰められた丸い焼き菓子たちの中に、ちょっとした悪戯のつもりで紛れ込ませたハート形のそれ。
……いっそ食べてしまうべきだろうか。じっとそれを睨み付けてみる。
思い悩んだ末、そっと袋に戻す。…まだ、食べる気にはなれなかった。
夜風にでも当たってこようかと、窓の外へ視線をやって。遠くに見えた人影に、目を丸く見開いた。


 冬へと向かうこの季節。夜の風は冷たく、暖かさを何処かへと連れて行ってしまう。
それが墓場ともなれば、尚更だ。死んだように静かなその場所に、男は居た。
祈るでもなく、唯静かに。身じろぎ一つせず、大きな影が墓石の前に佇んでいる。
人が見れば、或は悲鳴を上げて逃げ出すだろうか。そのくらい、今の男からは生気という物が感じられなかった。
折角人が呼んだのに、こんな所に居て!だとか。こんな所で何をしているのだ、だとか。
そんな言葉が、すっかり飲み込まれてしまって。何を言う事も出来ず、そっと隣へと歩いて行く。

「…………何だ」
暫く無言が続いた後で、そんな男の言葉が響く。顔を覗きこんでみると、青い瞳がこちらを向いていた。
「……もう、良いんですか?…邪魔をしたらいけない、と思いまして」
そう返す。…方便だ。彼は、死者に祈るような人ではない。…何て声を掛ければ良いか解らなかった、とは言いたくなかった。
「…別に、祈っていた訳じゃない。ただ…教会よりは、余程居心地がいい」
……私が気づかなかったら、どうするつもりだったのだろうか。この人は。…きっと、その時は黙って帰っていたのだろう。
そんな想像が頭をよぎり呆れてしまう。けれど同時に…本当にそれだけなのだろうか、とも思ってしまう。

彼の言葉に、ただじっと瞳を覗きこむ事で返す。…傷ついた子供のようだ、とこっそり思っている彼の眼は。今日はいつも以上に、どこか傷ついているように思えた。
彼の瞳が、困惑を湛え始める。小さく左右に泳ぐと、そのまま下を向いてしまった。
「……痛かったりとか。…苦しかったりとか、しませんか?」
「重かったり。…辛かったりとか、しませんか?」
そう口に出して、そっと彼の胸に手を触れてみる。
柔らかなのにしっかりとした、強靭な筋肉の感触。確かな筈の感触なのに、どこか儚く感じてしまう。
「……別に。…俺は、何も感じていない」
「…どうでも良いんだ。…俺はもう、そのどれも。ずっと前から、感じていない」
そう、言葉が返ってくる。…何度か繰り返した、似たようなやり取り。その度に、胸の奥で「嘘だ」と、感じる何かが有った。
少しだけ、手の位置を変えて鼓動を感じてみる。…結局、視線は下に向けられたままだった。


 冷たい風が吹いて、暖かさを連れて行く。
…このままここに居たら、彼まで何処かに連れられていくのではと、そんな気がして。
「………よし!!ね、ね。これから、お時間って有りますか?」
重たい空気を振り払うように、ぱん、と手を打ち鳴らす。虚を突かれたような表情の彼が、ああ、と短く言葉を返す。
「なら、ちょっと今からお出かけしましょう!夜のお散歩です。ほーら、早く!」
こんな時間にか、と呟く彼の手を取りグイグイと引っ張って歩く。今は兎も角、この墓場から連れ出したかった。
教会の前まで来た辺りで、ふと思い出して足を止める。
「…ちょっとだけ、待ってて下さいね。良い物を持ってきますから」
良い物?との言葉には答えず、部屋へと小走りで駆けていく。机の奥から秘蔵のワインを取り出し、クロスと一緒にバスケットの中へ。
点けっぱなしになっていた明かりを消そうとした時、小さな袋に気が付く。危ない、危ない。…食べてしまわなくて良かったと微笑んで、それをポケットへと詰め込んだ。
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RPをSSにしてみようシリーズ。一話読み切りじゃない続き物って初めてだったりする。少なくとも公開するのは。
惜しくらむはログが吹っ飛んでる事。記憶を頼りに書いては居るけど、精確じゃないのは簡便な!!ついでにちょっとした味付けも込みだ!!

仄かに甘く、そして切なく

ふと、懐かしい香りに足が止まる。

甘く爽やかな、柔らかい香り。昼下がりの賑やかさの中、初夏の風が運んできたその香りに自然と視線が誘われる。

瑞々しい緑に、沢山のオレンジ色の果実。白い花弁が所々に顔を覗かせ、穏やかな光に体を揺らせている。

食べ頃まではもう暫くだろうか。幼かった頃、屋敷に成っていた実を、我慢できずこっそり食べた記憶が蘇る。

確か、随分と酸っぱい思いをしたのだったか。

おまけに家の者に見つかり、随分と叱られた物だった。淑女が樹に登った挙句、やる事がつまみ食いだなんて!!

口の中に酸味強めな甘酸っぱい記憶が広がり、耳には懐かしい声が遥かな過去から聞こえてくる。

……ふと、我に返る。誰にも見られては居なかっただろうか。慌てて周囲を見回し、誰も知り合いが居ない事を確認する。

傍から見れば、随分と妙な顔をして居た事だろう。だが見られては居ないのでセーフだ。見られて居たら乙女的にアウトだったが。

軽く頭を振ると、止まった足を再度動かす。気持ち歩調を速め、大通りの市場へと向かう。買わねばならない物は沢山あるのだ。

リストを頭の中で確認しつつ、口からは小さな微笑みが零れた。




硬く温かな手のひらが、ゆっくりと幼い額を撫でる。

行かないでと、縋りつきそうな手を抑える事に。零れそうになる涙を堪える事に、あの時の私は必死だった。

だから最後の別れの時、どんな表情をしていたのか。私は知らない。

ようやっと顔を上げた時には、大きかった筈のその背中はあんなにも遠くて。

初夏の日差しの中に消えていくのを、見送る事がやっとだった。

吹き抜けた風が、仄かに切ない香りを運ぶ。

緑とオレンジ色の中に、小さな白が揺れていた。




大きな紙袋を抱え、買い残しが無かったか確かめる。後は帰るだけ、となった時、ふとそれが目に留まった。

露店にずらりとアクセサリーが並べられ、色とりどりの輝きを放っている。微かな魔力を感じるのは、それが文字通りお守りでもあるからだろうか。

その横に立てかけられたコルクボードには値札の他、アクセサリー自作教室開催中と大きく書かれたチラシが貼り付けられている。

「……お姉さん、興味あるの?良かったらチラシをどーぞ。結構人気あるんだよね。戦地に赴くあの人にーってヤツ?こんな時代だからねー」

詳しく内容を読んでいると、徒弟であろう店番の少年にそんな言葉と共に一枚手渡される。慌てて否定しようとし…結局言葉を飲み込んだ。

早口にお礼を言い、そのまま逃げるように歩き出す。…チラシは、後でゆっくり読むことにする。

傾いた陽の中、あの人にはどんな物が似合うだろうか、なんて考えながら歩く。

贈った所で、彼は身に付けてくれるだろうか。きっと眉間にしわを寄せたような何時もの顔で、それでも付けてくれるんだろう。

そんな様子が自然と脳裏に浮かぶ。何だかおかしくて、くすくすと笑ってしまう。

頬を撫でる風は、どこか甘く切ない香りがした。



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いつか書きかけにしてたデータが出て来たので完成させてみた。

酒場でキャラのテーマ曲について雑談していた際、ふと思い出したのでそれも盛り込んで。因みに某起動戦士種の曲をイメージしてたりする。暁で車な。歌詞使っては居ないしタイトルそのままでもないからセーフ!

140字とかじゃなくて、ちゃんと書くのって難しいなやっぱ…あれこれ詰め込みたい事はあったけど、上手く書ききれなかった感。若干とっ散らかってるし。

そして相変わらず誰かさんについてはぼかして行くスタイル。やっぱ自分で書くより相手のロールを楽しみたいというか(何

再会と旅立ち

パチパチ、と薪が爆ぜる音が響く。
久々に再開した嘗ての戦友は、酷くくたびれて居るように見えた。



溜め息と共に空を見上げる。
【闇】に飲まれつつあるこの世界の中。月は変わる事無く、静かに俺達を照らしていた。



「・・・・・・里が、飲まれたんだ」



ぽつり、と。掠れた声で、そいつは溢した。
蒼髪の、耳長族の男。
数年前、俺が冒険者だった頃、何度も冒険を共にしたそいつは、弓に体を預けるようにして俯いて居る。



「突然、闇が噴き出して。・・・少しでも、皆を逃がそうと足掻いたは良い物の。結果は、この様だ」

「破壊神(ルドラ)の名を貰っておきながら、結局。掬いあげたのは、己の身だけと来た。・・・名折れも、良い所だな」


くく、と乾いた笑いを溢すそいつ。
そうして再び、辺りには焚火の音だけが満ちた。


荷物袋から酒瓶を取り出し、二人分のカップへと注ぐ。
片方を無言で差し出し、自分の分を一息に煽る。

暫く遅れて、ルドラはゆっくりと啜り始めた。



二杯目を注ぎつつ言う。

「・・・俺さ。旅に出ようと思うんだ。・・・闇を何とかする、手掛かりを見つけに」

ピクリ、と長い耳が動く。
数瞬の後、こちらを見上げるそいつの目は赤く、しかしはっきりと此方を見据えていた。



「まあ、こうやって騎士になったワケだがな?このままじゃ領地とか、あと一応ほら、国に仕えてるワケで。…このままじゃ、全部呑まれっちまうかも知れんし、さ」

「そうなる前に足掻いてみるってーか、こう、止めて見せる!・・・って言えりゃあ格好も付くんだけどな。・・・悔しいじゃんか、このままじゃ」

威勢よく始めたは良い物の。見栄を張り過ぎただろうか・・・なんて、頭を掻きながら、それでも最後まで言う。

「だから、さ。…もう一回、組もうぜ。手ェ貸してくれよ。…お前の弓の腕は、良く知ってる」



三度、空気は静寂に包まれた。見ればもう、空の端が白み始めている。

手早く荷物を纏めていく。装備を軽く点検し、問題が無い事を確かめ焚火を消す。

後はもう、行くだけだ。



そのまま、明けて行く空を見つめる。

「……そう、だな。再び、共に行く時が来たかもしれない」

「微力を尽くそう。この弓、お前に預ける」

響いた声はもう、掠れた物では無くて。懐かしい、力強い響きだった。

唇の端を釣り上げ、朝焼けの空へと歩き出す。

響く足音は二人分。



これが、俺の旅の始まりだった。


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【南/入手/探索1】レイ@南は、以前語り合ったクールな狩人と再会した。「共に行く時が来たかもしれない」 所有していないなら《仲間:必中の狩人》を取得してよい。取得しないなら伝説P+5。




何だかTL見てて楽しそうだったので初めて見た。
一応簡単なキャラ説

主人公:レイ 《人間:騎士》
元はQuesutNotesというゲームの自PC。騎士志望の冒険者だったが、晴れて騎士となった後に世界が闇に飲まれだした為旅に出る。
QuesuNotesの元キャラとは平行世界の同一人物、といった体。

仲間:ルドラ《仲間:必中の狩人》
同じくQNの自PC。この世界では闇に里が飲まれたため、嘗ての戦友の元へと逃れてきたという設定。QN世界では影が薄いけれど、片道世界では初期仲間なのも有って出番多めになる・・・かもしれない